竹内まりや「プラスティック・ラブ」— YouTubeコメント500件をデータで分析してみた

音楽データ分析

Music Data Analysis

竹内まりや「プラスティック・ラブ」
YouTubeコメント500件をデータで分析してみた

音楽×データ分析

竹内まりや「プラスティック・ラブ」

1984年4月25日発売のアルバム『VARIETY』に収録されて発表された竹内まりや「プラスティック・ラブ」。作詞・作曲は竹内まりや、編曲・プロデュースは夫である山下達郎が手がけました。1985年には12インチシングルとしても発売されましたが、当時のオリコン順位は最高86位、売上は約1万枚にとどまっています。

ところが2017年7月、YouTubeに非公式アップロードされた動画が海外で急速に拡散。Redditなどの音楽コミュニティやSNS、YouTubeのおすすめ機能などを通じてリスナーが増え、同時期に盛り上がっていた80年代日本のシティポップ・フューチャーファンクの再評価とも結びつきながら、海外での人気を大きく広げていきました。発表から35年後の2019年、この人気を受けてワーナーミュージック・ジャパン公式チャンネルから新たなミュージックビデオ(ショートバージョン)が公開され、2021年にはフルバージョンも公開。同年発売の12インチアナログ盤は、発売から36年を経て初のオリコンTOP10入りを果たしました。

今回は、その公式ミュージックビデオのコメント欄を実際にデータとして集計・分析してみました。コメント欄は英語をはじめ多言語のコメントで埋め尽くされており、まさに「世界で再評価された日本の曲」であることを物語る結果になりました。

竹内まりや - Plastic Love (Official Music Video)

YouTubeで見る:竹内まりや「プラスティック・ラブ」Official Music Video

コメント欄の反応をデータで見てみた

コメントのテーマ別割合

テーマ 件数 割合
世代・国境を超えた共感 33件 7%
シティポップの再発見・海外での再評価 31件 6%
竹内まりや本人への賞賛・感謝 29件 6%
80年代への郷愁・個人的な思い出 28件 6%
シンプルな好き・最高という感想 22件 4%
歌詞の書き起こし・引用 13件 3%
発表から数十年後のMV公開への驚き 11件 2%
MV・衣装の美しさ 11件 2%
再生回数・記録の報告 8件 2%
アニメでの使用への言及 6件 1%
コメント欄の多国籍さ・Juice=Juiceのカバー・辛い時の支えなど 9件 2%
その他 299件 60%

500件のうち最も多かったのは「世代・国境を超えた共感」で7%。「海外で人気なのも嬉しいけど、やっぱ日本人にもこの曲はいい!って再認識してほしい!」といった、国境を越えて聴かれていること自体に触れたコメントが目立ちました。次いで「シティポップの再発見・海外での再評価」(6%)、「竹内まりや本人への賞賛・感謝」(6%)、「80年代への郷愁・個人的な思い出」(6%)と続き、発表から40年以上経った曲がなぜ今聴かれているのか、というブームの構造そのものに触れるコメントが上位を占めました。

“This right here is how you resurrect a lost classic!”
— @SmoothMcGroove(38,863 いいね)

「コメント欄が多国籍すぎてカオス。日本語探すのが困難。20年前は日本の歌がこんなに世界で愛されるなんて誰も想像しなかったでしょうね。」
— @k.h7660(16,135 いいね)

本人の意図とファンの解釈

竹内まりや本人は、この曲について「都会の孤独感みたいなものをこの曲で表現したかった」と語っています。また「私も海や山に囲まれた田舎で暮らしていた人間なので、流行りのディスコで踊り明かしたこともなければ夜更けの高速で眠りについたこともない」とも述べており、歌詞に描かれた都会の女性像は実体験ではなく、想像によって作り上げたものであることがうかがえます。制作面では、それまであまり手がけていなかった16ビートのダンサブルな曲を、プロデューサーである山下達郎が歌ったら面白そうだと意識しながら書いたと説明しています。山下自身も、竹内が休業中に書きためていた曲の中で最初に「プラスティック・ラブ」を聴き、その完成度に驚いたと振り返っています。

2010年代後半の海外での再評価について、竹内まりや本人は、韓国のDJ・Night Tempoによる紹介やアニメーション動画、カバーの増加など複数の要因が重なったのではないかとしつつ、最終的には山下達郎がアレンジ・プロデュースしたトラックそのものの普遍性が、今の若い世代にも通用したことが大きいと分析しています。作り手が40年近く前に込めた「都会の孤独」というテーマと、令和になってから多くの海外リスナーが感じ取った色褪せない普遍性。作り手自身がその普遍性を再評価の核心として捉えている点は、単なる偶然のバズとは違う興味深いポイントです。

最後に

竹内まりやさんが1984年に込めた「都会の孤独」というテーマは、当時の日本の若者だけに向けたものだったはずです。それが40年近い時を経て、YouTubeという誰も予想しなかった経路を通り、国も世代も違うリスナーに届きました。「温故知新」という言葉がありますが、この曲の場合はむしろ逆で、古いものがそのままの姿で新しい聴き手を見つけた、という方が近いのかもしれません。

皆さんは「プラスティック・ラブ」、どのタイミングで知りましたか?
当スタジオでは、こうしたコメント分析やデータ集計のようなお仕事も承っています。ご依頼はこちらからお気軽にご連絡ください。

音楽データ分析ラボはこちら


出典: 竹内まりや Official Web Site/Warner Music Japan/Billboard JAPAN/Pitchfork/タワーレコード オンライン/レコードの日 オフィシャルサイト/スポーツニッポン/TOKYO FM+/Wikipedia「プラスティック・ラヴ」/Mikiki by TOWER RECORDS

𝄞 空き確認・ご予約